8月の裏銀座を目指したけど
表銀座と裏銀座
そもそも裏銀座って何か。北アルプスの山々はたくさんあれど、有名なのが穂高と槍。その東側の常念山脈に常念岳とか蝶ケ岳、燕岳があって稜線を南北に縦走する事ができる(これが表銀座)。で、槍穂高を挟んだ西側にも双六岳、三俣蓮華岳、雲の平とか岐阜県から富山県に掛けてずっと北アルプスの山並みが続いている(こっちが裏銀座)。昨年夏に新穂高ロープウエイに乗って2000mちょっとまで上がってから西穂独標まで登った。
※2018年の北アルプス旅(①常念・蝶、②西穂独標)
https://ameblo.jp/cx0293/entry-12435038468.html?frm=theme
https://ameblo.jp/cx0293/entry-12436232161.html?frm=theme
なので、今年はいよいよ裏銀座に進出してみようと思ったのだ。山にウラもオモテも無いだろうと思うのだが、雑誌とかでもやっぱり裏銀座の情報は少ない。でも、双六岳とか鏡池とか写真で見る限り良さそう。
新穂高登山口へ
で、8/19~8/21に裏銀座の双六岳まで登るつもりだったのだ。東京はずっと暑いし寝苦しかったので、8/19はサッサと特急あずさに乗って松本へ。稲核ダムとか川奈渡ダムとか見ながらALPICOバスが快晴の山道を上がっていく。そこまでは順調だった。
で、眠りこけて目を覚ますと、安房トンネルを抜けていた。ドシャ降りの雨。何これ!
バスは平湯温泉から徐々に北へ進んでいくけど、降ったり止んだり。場所によっては地面が乾いていた。それほど気にしていなかったのだが、新穂高温泉登山口に着いた時には、屋根があって雨宿りできる案内所まで1分走るだけでもズブ濡れ。そのうちに雨も上がるでしょって気配はどこにもなく、叩きつけるように降り続く。登山客が15~20人くらい途方に暮れていた。下山してきた人はいいとして、これから登るって人には何の救いも無い、無情の雨だった。
<雨で霞む登山口、レトロなポスターを発見>
1時間半くらいボケーッと思案に暮れた末、とにかくこの日は撤収。平湯温泉まで戻って宿探し。ポンチョは持っていても傘は無かったので、宿泊案内所のオジサンに「傘も持っていないの? じゃあ」って事でビニール傘を貸してもらい、近くの宿へ退散。
翌日の快晴に期待したけど……
こういう場合、翌朝になれば普通は晴れる筈だ。確かに翌朝7時に日が差していた。でも、8時にはまた雲に覆われてドシャ降りになった。
<朝食には飛騨の名物・朴葉みそ>
<平湯温泉街にて:ヤマボタルブクロ、ミヤマハハコグサ>
温泉街に2泊するのは辛いし、安房トンネルを潜って上高地にescapeして徳澤まで行くのも考えたけど、2時間ドシャ降りでは困る。私の登山靴は防水でないし、そもそも冬場にアイゼン装着するのに紐を靴に食い込ませて縛っているので、3ケ所ほど穴が空いている。とにかく雨対策できていないのだ。
折角岐阜県まで来たんだしここで断念するのは不本意だけど、女将さんに「朝ニッコリと昼ニッコリには気を付けろ」って言うんだと教えてもらう。一瞬晴れ間が覗いたからと言ってヤマの天気を甘く見てはイケナイって事らしい。で、松本まで撤収する。モヤモヤしたまま、東京行きの切符を買った。
茅野でまったり
特急あずさに乗ってもモヤモヤは収まらない。何のために登山口に行ったんだろう。2日続きでドシャ降りってどういう事?
ふと思い出して、あずさ車内で唐沢鉱泉に電話してみた。ここは送迎をお願いできるし、折角なので茅野で途中下車して八ヶ岳の中腹に向かう事にした。八ヶ岳には山小屋が32軒ほど営業している。私はその半数超に泊まった事があり、唐沢鉱泉も2度ほど泊まっている。ここは天狗岳に登るのに適した宿。そして、野菜中心の色取りいい料理が食べられる宿。小屋と云うよりも旅館だ。今回も美味しい料理にありつけた。
<<<夕食>>>
で、今回は天狗に登ったかというと、もうそんなtensionは全く残っていなかった。双六岳が消えた所でスコンと意欲は萎えていたし、実はつい先月に天狗岳に登ったばかりなので、いつドシャ降りの雨が降り出すか判らない雲行きに改めて登る気は起きなかった。山頂にいるなら何としても下山するけど、敢えて濡れに行く気は起きなかった。なので、今回は辰野館から八方台を経由して唐沢まで50分歩いたくらいだ。
<唐沢にて:シモツケソウ、ギボシ>
あれ、このパンフレットどこかで見たなあ。懐かしい!
<唐沢名物の光苔、ヤマ旅のパンフレット>
あと、明治温泉に浸かってきた。ここは私がかつて開腹手術をした後で「明らかに治る明治温泉」ってキャッチフレーズに釣られて、何度か訪れた奥蓼科温泉の山懐に抱かれた宿。おまじないって事ではないけど、手術の年から5年間は毎年あの湯に浸かりに行っていた。5年振りだ。今回は泊まっていないけど、おしどり隠しの滝の傍の部屋だと滝の音が心地良い処だ。
<明らかに治る明治温泉>
まあ、8月は磐梯山に登頂できたし、偶には登らないヤマ旅もあってもいいか、と納得して家路に着いた。