ドロミテ旅⑥(オーストリアの吊り橋)

Lienzから入国

Dobbiaco駅から鉄道をそのまま東に進み、降り立ったのはLienz駅だった。オーストリアに入国したのだ。どこがイタリアとオーストリアの国境だったのか判然としないまま、オーストリアに入っていたので、あまりにも呆気ないものだった。列車内でアナウンスがある訳でもないし、これがシェンゲン協定(=ヨーロッパ内の国家間で国境検査なしで国境を通過できる事)って事かと知る。

Lienz駅の天井は高く、木の柱が細かく組まれていた。Bad Gastein迄の切符を買う。イタリアでもオーストリアの切符を買う事ができたのだけど、折角なので入国した後に、Lienz駅で買ってみた。これが手強かった。

美人の駅員さんは先ずドイツ語で話してきて、こいつ(と英語で会話するのは)無理だなと判ったところで流暢な英語で畳みかけてくる。こっちは発車時間さえ正確に聞き取れず困っていると、指を3本立てながら呆れたように「(出発時刻は15時)3分」と告げられた。目的地まで直通列車なのか乗換なのかも判らず聞いてみると、無視。諦めてそこを去ろうとしたら、ネット検索した乗り継ぎ案内の紙を手渡してくれた。うーん、ちょっと先が思いやられるオーストリアの洗礼だった。

<Lienz駅と駅舎の天井>
<Lienzの繁華街と路地裏のオブジェ>

出発まで1時間あったので、周囲を歩いてみる。大通りには人も疎らで車はそこそこ行き交っている。少し路地を進むと、車が入れない広場になっていて周囲を商店街と教会が囲んでいた。そこには買い物している人が大勢いた。そこを突き抜けていくと、リエンツァ川の支流なのか激しい流れがあった。左手の方に進むと、路地裏の通り沿いに洗濯紐が長く引っ張ってあり、そこに女性ものの服が色とりどりに干してあった。特に今朝洗ったものが干してある感じではなく、ずっとオブジェとして飾ってある感じだった。

Lienz駅に戻ると、遠くの山が雨に煙っている。Spittal Mill Seeへ向かう電車に乗ると、ついさっきまで雨が降っていただろう辺りを通過した。綺麗な虹が車窓から見えた。

<煙るヤマ>  <雨後の虹>

Spittal Mill Seeでまた乗り換えてBad Gasteinを目指す。山あいの道が続いた。国境を超えても景色はずっと同じだった。

Bad Gasteinは寒かった

Bad Gasteinは寒かった。どんよりした天気で山もほとんど見えない。この日はゲストハウスに一泊した。本当はこういう田舎街に連泊したかったのだが雰囲気が読めなかったので先ずは手堅く1泊した。スキーが盛んな街らしく、夏はoff-seasonみたい。坂道にずっとホテルが連なっていたけど、レストランも半分くらいはcloseしており、かなり淋しい所だった。

<夕食:ステーキsandwitch>  <ゲストハウスの朝食>

Bad Gasteinをchoiceしたのは、シュトゥーブナー・コーゲルの吊り橋が目的だった。「地球の歩き方」にも載っている写真だ。このタイプは日本の山岳地帯で見掛けない。大井川鉄道の上流・寸又峡に夢の吊橋があるけど、その高原版だ。

シュトゥーブナー・コーゲルの吊り橋

<<<Stubner Kogel吊り橋>>>

Bad Gastein駅の裏手がすぐゴンドラ乗り場になっている。晴れていたのに、上っていくと徐々にガスに包まれていく。この日の前半は歩いていてもガスで視界不良だった。

<駅裏の乗り場>  <ゴンドラ乗車券(裏面)>

先ずは吊り橋を歩いてみる。ガスで曇っているのが残念。で、そこからグッと左手の稜線を歩いていく。既に標高2000m前後だったので、オレンジ色のオブジェを通過しつつflatな道を30分くらい進む。おそらくそこがユンガー・シャルテJunger Scharteで、私が見たハイキングのパンプレットだと終点になっていた。

<展望台のオブジェ>  <黄色い花>

みんなもっと先に進んでいくので、私もガスが巻いている登山道を登っていく。やや険しくなるけどtouristも多かったし、子供連れの白人さんと何度かすれ違ったのも安心感があった。山頂と思しきところはガスに包まれて何も見えず。家族連れが2組ほどランチを食べており、山頂の標識はないけどここがZittrauer Tisch(標高2463m)だと言う。

<稜線>  <紫の花が岩場にへばり付く>

下りは更に左の分岐を選んで緩いトレイルを戻って行った。こちらにはアルペンローズが咲いていた。

<<アルペンローズ>>  

日本では見た事のないタマシャジンも咲いていた。この花は先端がけば立つように咲いているのでピントが合わせにくい。他に、アカツメクサ、シロツメクサ、それに北イタリアで見掛けた黄色や紫の花もいろいろ咲いていた。この頃になると、谷底の鉄道線路の反対側のヤマが少し見えてくる。まだかなり雪が残っている。

<コバイケイソウの葉>  <タマシャジン>  

10:25に出発して、13:30に帰還。ゴンドラ山頂駅に戻ってきた。シュトゥーブナー・コーゲルの山頂駅で遅めのランチを摂る。オーストリア名物のウインナー・シュニッツル(=ミラノ風紙カツ?)を食べながら軽くビールを呑む。ポークは美味しいけど、カツがあまりにデカいので味が単調になってしまう。

<遠くのヤマの残雪>  <ウインナー・シュニッツル>

朝よりも視界良好になったので、酔い覚ましにもう一度、吊り橋を渡ってみる。マレーシアのタマンヌガラにあったキャノピーウオークは木と木の間に地上10mくらいで橋を渡したものなので、それと比べたらかなり頑丈なので怖さは全然なかった。改めて見ると、吊り橋の後ろのヤマの最高部がZittrauer Tischになるのだ。この感じだと近いように見える。でも片道1.5時間掛かったのだ。

<<朝と帰還後で比べると視界が良好になってきた>>

この写真は橋の上のボタンを押すと橋の向こうに据え付けられたカメラで撮ってくれたもの。帰国してからゴンドラ乗車券の番号をネットにエントリしてみると、この2枚をdownloadできた。

この日は夕方から4時間くらい電車に乗った。Bad GasteinからザルツブルグSalzburgへ向かい、そこからSt Poultenサンクト・ペルテンへ乗り継いだ。BolzanoからSalzburgまでずっと川沿いの谷合いを縫うように走ってきたので同じ景色で癒されたけど、Salzburgより東は北海道の草原を走っているような景色に変わった。あー、これでヤマ旅は終わりって事なのだ。(続く)

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