雪山のチョイスと注意事項

(1)どこのヤマに出掛けるか

これはもう好き好きだ。最初はTVで見せられた景色に吸い寄せられるように出掛けるのかも知れないし、友人のオススメに乗るのかも知れない。ただ、どこのヤマに行ったらいいのか判らないと迷うものだ。どこが難しいのか、夏道とどう違うのか、こればかりは行って見ないと判らない。それも、同じヤマでも、降雪量やその日の天候によっても様子は全く異なってくる。雑誌とか本を見たり、ネットで検索したり、あとは石井スポーツとか登山用品店に置いてあるチラシを参考にするのも一考の価値がある。裏磐梯のもくもくさんのツアーとかはチラシで知ったものだ。志賀高原のツアーはネット検索したのと、1回参加して良かったのでリピートしてみた事もあった。

例えば、雑誌「山と渓谷」2019.12号にこんなmapping表が載っていたので拝借した。これを見ると、私がこれまで10年間に出掛けていた雪山だと天狗岳が技術&体力面でmaxであり、かなり初心者レベルにいた事が分かる。まあ、冬の赤岳に登っていないのでそれはそうでしょう。特に違和感なし。

<冬山の難易度①:雑誌「山と渓谷」2019.12号より転載させて頂きました>

夏山だと飄々と登り始めても大丈夫だった赤岳(南八ツ)、仙丈ヶ岳、燕岳、基礎駒ケ岳なども、冬山って言われたら正直なところホントに大丈夫なのか真面目に考えてしまうし、身構えてしまう。

上表の体力・技術レベルを参考にして、これまで私が冬期に登った山域をplotしていくと概ねこんな感じになる。ただ、見直せば見直すほど気になる所も出てくるし、一旦2020.2暫定版として提示するが、今後も同じヤマに登る事で継続的にreviseしていきたい。尚、山頂を目指すのにスノーシューを使ったのは入笠山と横手山(下りのみ)と四阿山くらいじゃないか。その他のヤマではアイゼンを装着している。

<冬山の難易度②:上記資料を参考にしてoriginal作成>

(2)ツアー利用

最初のうちはツアー活用もオススメする。私も雪山の最初のシーズンは全て現地募集タイプのスノーシュー・ツアーに参加しており、ガイドさんの説明を真剣な面持ちで聞いていた。大木の周りの雪が凹んでいる部分が危ないとか当たり前の事でも意識的に聞いた方が腹落ちする。動物のトレース等の自然現象について聞く事ができ、いろいろと参考になった。

ただ、それらはスノーシュー・ツアーばかりで、アイゼン・ピッケル登山では1度しかツアーを利用していない。ずっと独力でやってきたものの、2018年に夏沢峠からapproachして冬の天狗岳に登れなかったので、素直に教えを乞う事にして正解だった。

【参考】失敗、そしてリベンジ成功!(Amebaブログにjump)

https://ameblo.jp/cx0293/entry-12434024289.html?frm=theme

https://ameblo.jp/cx0293/entry-12448108415.html?frm=theme

スノーシューやアイゼンを使ったツアーはこの10年で19回ほど利用しているけど、いずれも良心的な対応をされる会社さんばかりで感謝している。但し、スキーでバックカントリーに踏み込んでいくツアーは要注意。初心者も中級者も一緒くたに扱ってくる業者がいる。そうした業者のツアーに参加すると妙な同調圧力を強いられてしまい結果として怪我に繋がる。と言うか、事実として怪我して大変でした。

(3)スノーシューかアイゼンか

スノーシュー: 基本的にはflatな場所の新雪の上を歩くのに適している。用具のお蔭で足の面積が広がるので、足に掛かる圧力が分散されてズボッと沈むのを緩和してくれる。ツボ足で歩けなくてもこれさえあればラクラクと雪原を歩ける。勿論、軽い登りや下りでも使用できる。

正式名称は個別に雑誌や店頭で確認してもらうとして、パイプ型とプラスチック型がある。「MSR」とか「TUBBS」とかブランド名が書かれていると思う。スキーのレンタルショップにだいたいこのいずれかが用意されているので、その店員さんにお任せしている。もしかしてその土地ごとの雪質に合わせて、パイプ型かプラスチック型をchoiceしてくれているのかも知れない。

素人感覚的だと、パイプ型の方が雪圧で微妙な高低差ができるので安定感があるように思う。プラスチック型は割れるんじゃないのかと不安があるけど、その一部製品には登りの負荷軽減のためビンディングが付いているので登りやすい。

<時代物のスノーシュー>  ※八ヶ岳・ピラタスのペンションで撮影

アイゼン: 本来は凍っている雪面を登るのに必要なもの。ベテラン登山者によると「八ヶ岳でアイゼンなんて要らないヨ。ツボ足で十分」なんて笑っている人もいたけど、私はザックに入れておいても重いので、サッサと夏靴に装着して歩いている。10~12本の爪があり、アイゼンを装着していれば、雪面に爪がしっかり食い込むので滑る事はない。ただ、ガニ股で歩かないと片方の足の内側爪が反対の足のスパッツとか足そのものを傷付けてしまうので要注意。事実、私の使い古しのスパッツも内側がボロボロになっている。

軽アイゼン: 6本爪でやや軽い。私は一度だけツアーでレンタル品を付けた事がある。ただ、土踏まずの辺りが浮いた感触になってしまい、足指ぶぶが不安定で歩きにくかったので苦手。大は小を兼ねると考えて、常にアイゼン持参で済ませている。

スキー: 割愛(経験不足のため記載できず)
ワカン、チェーンスパイク: 割愛(装着した経験がないので記載できず)

スノーシューとアイゼンのchoiceは常に迷う。同じヤマでも積雪量や雪が降ったあとの日数によってその日に適したギアは異なる。ただ北八ツを例にとって書いてみると、こんな区分けになるんじゃないか。

<ギア利用の比較表>

(4)その他のギアの必要性

ストック、ピッケル: 私がこれまでに登った雪山はほぼ全てストック大丈夫だった。唯一の例外が天狗岳。あそこはガイドさんにピッケルの使い方を教えてもらいつつ、初めてピッケルを突いてバランスを取りながら登った。ただ、感触が判らなかったので、先ずはレンタルで使ってみた。

<ピッケル>  <夏沢峠から硫黄岳へ登る>

サングラスかゴーグル: サングラスは雪盲にならないために必須。晴れた日にサングラスがなかったら痛くて目を開けていられない。曇天や雪の日であっても目にはdamageがありそうなので絶対に持参しよう。

手袋と帽子: どちらも必須。手袋は手首の継ぎ目部分までキチンと覆えるtypeがベスト。帽子は気温次第で邪魔になるかも知れない。でも、ヤマで樹林帯を抜けた後いつ強風が吹き付けてくるか判らないので耳当てがないと耐えられないので帽子も必要なのだ。

目出し帽: 天狗岳の登山学校の準備グッズの中に「必須」と書かれていた。事実、箕冠山から根石岳方面の樹林帯に出た時に猛吹雪だったので、ガイドさんから厳しく叱られた。でも私の場合には暑がりな事もあって頬に当たる寒風もなんとかやり過ごせたので、これは体質を考慮するとちょっと優先度を下げておいていいかも。

(5)危険はいろいろ

雪山には夏山よりも気を付けないといけない事が沢山ある。雪庇とか雪崩、凍結、滑落、雪目とかこの辺りの内容は素人が改めて書くのも憚られるのでここでは省略する。これは実地で経験して覚えていくしかない。しかも雪庇なんて登山道にいてもその存在は全く判らない。なので、軽く流す程度で構わないので、あらかじめ本を読んでチェックしておいてね!

余談だけど、氷点下でバッテリーの消耗が激しいためか、80%くらい残っていてもiPhoneが強制終了してしまいリアルタイムに写真を共有できない日もあった。尚、そんな時でもCanonのデジカメは正常稼働してくれたのでデジカメはmust。

(6)八ヶ岳の冬山の災害一覧

これは先日、ピラタス・ロープウェイの乗り場に貼ってあったものを撮ってきた。前年の冬山での事件一覧だった。天気のいい日に歩いた人は「八ヶ岳で遭難する事はないでしょう~(笑)」と軽く思う。私も猛吹雪で危ない経験に陥っていなければ、その程度にしか思わなかった。けど、雪山はいつも綺麗なだけの対象ではない。しっかり客観視して自分で対処できるか考えてから出掛けよう!

<<2018.12~2019.3事故一覧>>

さて、個別のインシデントを見てみよう。総じてみれば南八ツで事故は多い。でも、北八ツだから安全って事でもない。雪山には変わらないし、私が猛吹雪で行動不能の一歩前になったのも北八ツの雨池近くだった。

この20件前後の掲示からインシデントを拾っていくと、以下の通り。

【A】主に雪山固有インシデント
・行動不能(疲労のため、体調不良のため)
・滑落
・低体温症、凍傷
・アイゼンが刺さり負傷
・落氷が顔面を直撃
・雪崩に巻き込まれる

【B】夏山でも起きるインシデント
・転落
・道迷い
・火傷

いくつかは自分でも想像できるけど、雪崩の恐怖は未だ身を以って知っている訳ではない。冬道にしっかりトレースが付いていても、風吹になれば5分と経たずにトレースは消えてしまう時だってある。これでは先行登山者の跡を辿れない。あまりの風吹で北八ツ・中山峠で止む無く撤収した事もあった。

あと、ガニ股で歩いて居れば片方のアイゼンで別の足を刺して怪我するなんてないだろうと思う。でも、疲れていたり、足元が不安定だったり周辺状況でそんな目に会わないとも言い切れない。怪しいスキー・ツアーでの前十字靭帯断裂を除くと、幸い今のところ怪我はしていないけどね。

個人的な体験は、稿を改めて次回書いていきたい。

【2020.2.8改訂】「雪山難易度」のoriginal図を加えた他、一部の文章を加筆修正しました。

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