今年も冬の茅野へ(北横岳、イノシシ鍋と縞枯山)
北横岳の前泊
昨年末のNZでのカヌー転覆の余波で、今年の雪山に出遅れてしまった。腰痛で畳の上に座っているのも苦痛な日が続き、整骨院に10日連続で通っていた。どうにか落ち着いてきたので、極力ザックを軽くして茅野ゆきの特急あずさに乗車する。この季節にしては車窓から見える山肌が黒い。
<高尾~甲府間の中央線にて> <夕食>
そしてピラタスの丘に向かった。この日は出発も遅かったので、確か最終便のバスで到着したのが16:30頃だった。
本当なら縞枯山荘とか麦草ヒュッテとかに泊まりたいけど、腰痛がぶり返しても困るので大人しくペンションをchoice。ピラタスの丘では何軒か泊まった事があるけど、どこも当たり!
<夕食の続き>
北八ツの山々も蓼科山も快晴の中で綺麗だった。そそくさとペンションに向かい、この日は何も行動していないのに美味しいディナーにありつく。もうこの宿にお世話になるのも5回目くらいじゃないか。寒い季節にはsoupが滲みてくるし、グラタンもホッコリする。この日の肉料理はポークでこれもまた美味しかった。
<朝食> <時代もののスノーシュー>
朝はポテトグラタンで暖まる。この宿のオーナーさんに、何年か前雨池までのスノーシュー・ツアーでお世話になっている。勿論、スノーシューは確かパイプ式のものだったと思う。ペンションの壁に飾られていたのは往時のモノだ。
今年も登り初めは北横岳
登山日: 2020.1.下旬
コース: 山頂駅(10:10)→北横岳・北峰(11:30)→ 雨池峠(12:50)→ 山頂駅(13:15)
北横岳はもうこれで7~8回目くらいじゃないか。殆ど1月に登っている。片道1時間で山頂に立てるので、あんまり気負う必要もない。
ペンションでゆっくりできたのでので、ロープウェイで山頂駅に上がる。風は冷たい。でも、山腹の木々が雪で覆われている訳でもなく、やっぱりここでも雪が少ないって事なのか。山肌もヤケに黒い。雪山なので登山道はシッカリ雪があるし、スキー客も多いのだけど、木々にドスンと雪が積もっていないので黒く見えてしまうのだろう。
<坪庭> <分岐(2)>
縞枯山の方を見ても黒いのがかなり違和感あり。いよいよ登りに入る。徐々に木々が白くなっていき、雪の重みで枝もたわんでいく。
<登る(2)>
この日は曇り空だったけど、赤岳方面までスッキリと稜線が続いているのが見える。そ、ここの尾根筋を全部歩いたんだよなあ~、と改めて思う。勿論、一気に登った訳ではなく足かけ8年くらい要している。道標に海老のシッポが鋭く伸びている。それだけ風がキツイって事。
蓼科山はすぐ傍に穏やかな表情で丸っこい姿でいてくれるし、北アルプスや浅間山も綺麗に見えた。山頂ではドローンを飛ばしている2人組がいたので写真を撮ってもらう。
<八ヶ岳連峰を望む、海老のシッポ>
<山頂、南峰と北峰の尾根筋> <雨池峠>
山頂直下は慎重に降りるけど、その後の雪道下りは軽やかで速い。坪庭を経由して、縞枯山荘にいってみる。コーピーでも呑めればと期待したけど、平日だったし「本日休業」の看板にガックシ。雨池峠の分岐に着いた所で撤収した。ここから南に坂を登れば縞枯山頂に行けるけど、そろそろ体が冷えてきたし腰痛が怖いので潮時とみた。曇天からポツポツと雪が舞い始めたので、引き返すタイミングとしても良かったんじゃないか。
3時間くらいの山行で出会ったのはアイゼン登山が30名、スノーシュー登山者が10名くらいだった。幸い、この日は風が無くて歩きやすかった。これが2020年の登り初めでした。
【参考】以下に撮った快晴の北横岳の写真を載せています。宜しければご参照下さい。
イノシシ鍋
大学時代の先輩が長野県に住んでおり、イノシシ鍋を食べに連れて行ってもらった。以前にもブタ鍋やイノブタ鍋を食べに連れて行ってもらった事があり絶品だった。イノシシってどんな味なのか期待しつつ、待ち合わせの茅野駅前で落ち合う。
そう茅野って登山する人にはお馴染みの街。八ヶ岳や蓼科山に登るにも車山高原でラクするにも茅野駅がそのgatewayになるからだ。私自身もこの10年で30回くらいはこの茅野駅を経由してヤマに向かっている。その殆どはヤマだけど、実は最初に訪問したのは温泉だった。開腹手術した年に「明らかに治る」ってキャッチフレーズで見つけた明治温泉に泊まった。ここは、渋の湯行きのALPICOバスでもラクに行けるし、横谷峡をのんびり遡上していっても辿り着く終着点に在る温泉宿だ。
さて、イノシシ鍋のお店は茅野の郊外にあった。この日は快晴だったので八ヶ岳も蓼科山も綺麗に見えた。店に着くと大きな声で犬に吠えられる。もしかして猟犬なのか、かなりガッツいた啼き声、唸り声だった。店内は大きなロの字のテーブルの他に個室が3つほどあり。
<イノシシ鍋(2)> <セットメニュー>
赤身は小さく脂身が殆ど。でも、お店の女将さんは「脂肪分をこれだけ沢山提供できるのはいい事」と言う。確かに食べてみてその言葉を実感した。煮ると脂身はキュッと縮こまるし脂っぽい事をあまり意識しない。イノシシの脂と味噌味の出汁が相まって美味しかった。イノシシ肉はやや歯ごたえがあるけど食べやすいもの。
左下の黒いのが岩茸。山奥の危険な岩場に生えている珍味だと伺うが、個人的にはあまりimpactなかった。その上がシカ肉。その斜め上はツルツル食感のシイタケ。その右隣りが山菜の酢の物とフキ。手前はハチノコとミョウガ。ハチノコとかイナゴには縁が無かっただけに、正直なところあの食感に違和感があった。
お店の写真は以下の通り。尚、御主人がマタギをされており、以前は狩猟犬を7~8頭も飼っていたのでエサ代が大変だったとか。
<お店情報(2)>
【参考】http://www.lcv.ne.jp/~bosskun/
この日の夕方は、翌日の雪山登山に備えてピラタスの丘に向かう。そうピラタスのペンションには1月にも泊まったばかりなので今回は別のペンションをchoice。もう3年振りくらいじゃないか。オーナーさんが私の顔を覚えていてくれて助かる。この宿のウリは露天風呂とチーズフォンヂュー。標高1700mの寒風が吹いているのでビニールシートで覆って外気が入らないようになっているけど、それなりの冷気は感じる。
チーズフォンヂューはパンでも野菜でもそのとろける感じが堪らないものだ。海老のシッポが飛び出たパイ包みも美味しかった。中に魚介とゆで卵を崩したものが入っていて濃厚な味わい。どちらも中々食べられない料理なのでありがたい。
<チーズフォンヂュー、パイ包み焼き(2)>
夕食時に1980年代の音楽が掛かっていた。聞き覚えのある曲だ。隣席の男性が「この歌なんだっけ? ファースト・ラブだ!」と自信を持って彼女に言っちゃった。そう、中森明菜の「セカンド・ラブ」って懐かしい。デビューした頃の中森明菜は硬軟取り混ぜた曲を交互に歌っていて魅力あったなあ~。
五辻から縞枯山へ
登山日: 2020.2中旬
天気: 快晴
装備: ストック、アイゼン
コース: 坪庭(10:25)→五辻(11:05)→縞枯と茶臼岳の鞍部(12:00)→縞枯山頂(12:35)→雨池峠(13:05)→坪庭(13:35)
さて、思いっきり食べた翌日はピラタス・ロープウェイで坪庭に上がる。前日、茅野駅に降り立った時、いつもそんなに寒くないけど、この前日には空気が凍っている感じで呼吸すると気道がキーンと冷えてビックリした。この日もロープウェイ山麓駅の掲示板には「山頂駅マイナス11℃」と書かれており、つい身震いしてしまう。
つい3週間くらい前に来たばかりだけど、やっぱり雪が少ない。山肌が黒いのだ。およそ真冬の北八ツの風景ではない。
この日は初めての五辻を目指す。おそらくコースとしては縞枯山を越えるよりラクだと思うのだが、五辻に向かう周辺は雪原で吹雪くとトレースが判り難いので実はchoiceした事がない。以前、途中まで歩いたけど、雪で道が判らず撤収している。フカフカの雪が続いているのでむしろスノーシューに適している。
<山頂駅、五辻に向かう道で北横岳の方を振り返って>
この日もスノーシューの踏み跡が目立った。アイゼンで進むと偶にズボッと嵌り込む。やっぱりツボ足は怖いな、と思いつつゆっくり進む。しばらくすると樹林帯でやや下りになった。樹林帯に入ってしまえば固く踏み固められているので、アイゼンでも大丈夫。また雪原に出たりしつつ五辻に到着。この日も小屋泊まりできるなら直進して麦草ヒュッテに向かいたかった。けど予定もあったので、左に曲がる。
実は縞枯と茶臼岳の鞍部に入るルートは明確な踏み跡がなかった。きっと前日には誰か入山しているようで僅かな窪みは見えたのだがハッキリしない。そこで躊躇していたら、後続の登山者がやって来て淡々と入っていく。先人に感謝。その人のトレースを頼りながら鞍部を目指す。鞍部を目指すのに登り坂だ。それだけ五辻は低い場所だって事、ここから先はアイゼンがmustだ。ところどころ凍っているしウサギの足跡もガリガリの雪の上に残されていた。暫くすると、縞枯れ現象で枯れ木が目立つ。
<ウサギの足跡、縞枯れた木々>
ようやく鞍部(コル)に到着。もうここまで来れば何度も雪道を歩いた場所なので安心。あとは淡々と縞枯山頂を目指して登っていくだけ。ここは安全ルート。
<登る、展望台にて南八ツを望む、山頂(3)>
怖いのはこの先の雨池峠に下る急坂だ。サクサクの雪はなくアイゼンでガチガチに踏み固められていたのでちょっと怖い。アイゼンに雪を咬ませながらゆっくり降りていく。時折下からハアハア息を嗄らしながら登ってくる登山者とすれ違う。この日出会った登山者は10~15人くらいだった。この坂を下り切る直前に雪が積み重なって両側の木が倒れかかっている場所があった筈。そこが通りにくくて厄介だと思っていたのに、この日は難なく雨池峠に出てしまった。そう、雪が少ないのでこの冬は折り重なるように木が曲がった場所すらなかったのだ。
<雨池峠にて> <北アルプスの山並み>
ここから先は風の通り道なので吹きすさんで冷える。縞枯山荘はこの日も休業。平日はあまり営業していないのか。ここで暖かいココアでも呑みたかったのに。やっぱり同じような登山者がいて、坪庭から下りてきた分岐で「営業していましたか? であれば寄っていきたいんだけど」と尋ねられる。週末メインの営業なのか。以前、ガイドさんと歩いた時に、八ヶ岳の山小屋32軒のうち小屋主さんのキャラが結構個性的だって話が出た。私もそのうち10数件は泊まっているのであれこれ話してみると、やはりお互いの見方は似通っており笑ってしまった。
是非みなさんも泊まってみましょう! 小屋ごとに夕食も特徴があり、馬肉スキヤキ、牛ステーキ、ぼたん鍋、豚しゃぶ、信州サーモン、ビーフヒチュー、天ぷら、ハンバーグとか食べられます。Variationも豊か。勿論、かつての定番カレーライスを出してくれる小屋も健在です。
この日は南・中央アルプスも乗鞍岳も北アルプスも一直線に並んで白く輝いていた。絶景。