岩井の富山に登る
内房の岩井海岸
登山日: 2019.12.上旬
コースタイム: 水車小屋入口(11:25)→双耳峰の分岐(12:20)→北峰(12:25)→南峰(12:45)→下山(13:00)→岩井駅(14:25)
JRの車内誌かどこかで沢木耕太郎のエッセーを読んだら、千葉の岩井に堤防を作ったら海岸線の景観に影響が出ているなんて書かれていた。えっ、岩井海岸はずっと残そうよ、と単純に反応してしまった。そう、内房の岩井海岸は大学時代の合宿で訪れているし、夏場のビーチがそこそこ空いているので友人とビールを呑みに行った事も何回かある。千葉で獲れたアジのなめろうが美味しかったのだ。そんな事で思い出した岩井を、12月上旬の2019年ラストの国内ヤマ旅の場所に選んだ。
<岩井駅(2)、駅前にあった大きな地図>
幕張に前泊
この旅は東京から日帰りで行けない事もない。ただ、前日に千葉で用事があったので、千葉の安宿に泊まった。一泊2,200円のシングルルームは過去最低レベル。東京のド真ん中にドミトリーで3,000円台ってのがあるけど、それより安い。ただ、一般の宿ではないので誰もがそこに宿泊できる訳ではない。そこで折り畳み式のヘルメットを発見。これなら穂高に登るのにも嵩張らなくて、ザックに入りそう。でも、いざ地震って緊急時には思いっきり力を入れないと開かないので、助からないんじゃないか。
<TATAMETの開閉それぞれ(2)>
内房線からは東京湾を挟んでその向こうに富士山が見えた。やっぱり冬は空気が澄むので視界が開けるのか、おそらく内房線から見たのは初めてだと思う。
いつもJR岩井駅に着くと、そのままビーチに直行していた。かつて合宿で訪れた宿も海岸線から徒歩数分の場所だった。ただ、今回のtargetは「南総里見八犬伝」の伝説がある富山(標高349m)である。岩井駅の辺りの雲は何とも不思議な形をしていた。濁った液体の中に一滴だけ別モノを混ぜた感じとでも言うのか。
<富山山頂、不思議な形の雲(3)>
台風被害にビックリ
でも、駅隣りの観光案内所の貼り紙を見て焦った。「台風15号の影響で富山も伊予が岳も通行止め」と書かれている。話を聞いてみると、駅からのそのまま東に向かって登っていく登山道は2ルートともNGだとか。ただ、ヤマの東側に大回りしてからapproachするのならば登れない事もない。バスとtaxiを使っても徒歩4時間、バスだけだと徒歩6時間だと言う。面倒なのは半分以上が舗装道路をトコトコ歩かないといけない点。これはモチベーションが下がる。
ただ、房総半島のほぼ先端近くまで来て撤収はあり得ないなあ。天気は快晴だし、バスで水車小屋入口まで行く事にした。そこから緩い傾斜を歩きつつ、珍しいものを発見。キューイフルーツではないか。こんなにたくさん垂れているものか。ただ、1本だけだったのでワケありかも。水車小屋を左手に見て、目当ての消防倉庫を探す。そこを大きく曲がると登山道に繋がると聞いていたのだ。
<スタート地点、キューイフルーツ、水車小屋(3)>
その先に、秋葉山の灯篭あり。みかん畑で斜面に広がっており、ちょうど収穫していた。ちょっと1つ拝借したい気分だったけど、自制してとことこ緩い坂道を登っていく。
<灯篭、ミカン畑(3)>
ようやく樹林帯に入っていくのだが、そこに咲き遅れのアザミが一輪。2枚目は山頂で撮った小さな花。タチツボスミレってこの時期じゃないと思うし、名前が正しいか自信がない。
<アザミ、タチツボスミレか、艶やかな葉っぱ2種(2)>
さて、樹林帯に入るが入口からして荒れている。もしかして台風15号の被害か。そこは既に登山道だと思ったのだが、まだずっと舗装してある。富山は双耳峰で南峰と北峰があるが、南峰には電波塔が2体ほど立っており、そのメンテナンスのために車両が登れるようになっていたのかも知れない。なので、樹林帯を登れど、ずっと電柱が続いていて、電柱でもお構いなしに弦が上に向かって伸びていた。
<荒れ地、電柱に弦、シダ類(3)>
富山の山頂へ
ストックを突きながらようやく分岐に出る。ここは眺望が開けており、岩井の街中も太平洋も良く見える。遠くの島影は伊豆大島とか新島、神津島になるらしい。神津島の天上山に登ったのが懐かしい。
<双耳峰の分岐にて(2)>
分岐からちょっと階段を上がると5分くらいで北峰に到着。感覚的には、伊豆・松崎町の牛原山と似ている。あそこはドラマのロケ地として有名で登った事あるけど、すぐ下に太平洋を眺める事ができる。アジサイの季節だとセカチューの主題歌の世界そのものだ。
<北峰にて(4)>
下山ルートは台風禍で厳しい
ちょうど閉鎖されていると聞いていた福満寺ルートから来た人が居て、どんな感じか聞いてみると「登れない事はないけどちょっと大変」との事だった。この日登ったルートが余りにも舗装道路ばかりだったので、多少のリスクは冒しても登山道を歩きたかったのでチャレンジする。確かに、土砂で登山道が塞がれた箇所が多く、根元から大木が倒れているのも30~50本近くあったんじゃないか。なので、オススメできるルートではない。
<南峰の直下と福満寺ルートは荒れていた(2)>
5合目くらいまで降りると、今度は木の枝がバリバリと折れてそれが散乱しているので、通りにくい。2合目でちょうど登山道の整備をされている方に出会ったが、街中で屋根をブルーシートで覆った家がそこそこ残っているので、確かに登山道どころの騒ぎではないだろう。
冨山から下山してずっと西に歩いていくと岩井駅に辿り着く。福満寺下山口から駅まで1.5時間だったのでそこそこ平地を歩いた。
あっ、伏姫甌穴は別ルートだったので今回は見られなかったのが残念。「南総里見八犬伝」の地元なので、所々で「仁義礼智忠臣孝悌」の看板は見掛けた。
船で金谷から久里浜へ
内房線の先端の方になるとJRも一時間に1~2本しか運航していない。で、駅前の蕎麦屋さんで瓶ビールを頼んで、ランチを戴く。海辺の街なので焼魚か煮魚を食べようと思ったのだが「おさかなさんはまだ居ないなの」と言われてしまう。
<ランチの豚丼、ツワブキ(2)>
JR浜金谷駅で下車。僅か5~10分のタイミングでフェリーが出航するので焦る。このルートも3回目くらいじゃないか。夏場だと潮風に吹かれながら呑むビールが美味しい。
<東京湾フェリー出航(3)>
カモメもずっとフェリーを追ってきてくれる。コンテナ船のずっと奥、東京湾の右手側に工場が立ち並んでいるのがかすかに見える。君津とかの製鉄所なのか。11月の佐渡はヤマ旅としてはNGだったけど、今回は無事に登山できたので充実感のある船旅となった。
神奈川県の久里浜まで僅か40分ほどで到着するのだ。
<洋上にて(4)>