湖西連峰(神石山)を歩く
時期: 2020.4中旬(緊急事態宣言の発出中)
人出: 40~50名
行程: JR新所原駅(11:15)→新所原登山口(11:40)→梅田峠(12:00)→仏岩→神石山(12:55)→中尾根分岐→大岩→知波田登山口(14:30)→天浜線・知波田駅(15:20)
湖西連峰とは
日本アルプスはその名前に負けないけど、日本各地には所々大袈裟な呼称が付いている場所がある。青森県の十二湖には日本のグランドキャニオンがある。湖は雰囲気があって良かったけど、キャニオンはちょっと悲しかった。伊豆の沼津アルプスって場所もその響きから歩いてみたいものの、マダニに刺されるって聞いたので冬まで待とう。
湖西連峰って言葉も気になっていたので出掛けてみた。何の湖かと言えば、浜名湖。静岡県湖西市は浜名湖の西の方角に位置しており、そこに浜名湖を望むように湖西連峰があると言う。
<湖西連峰の概観、段々畑、案内板>
JR新所原駅が湖西連峰の入口
この日はJR東海道線・新所原駅から歩き始める。少しするともっこりとした低山が北側に連なっているのが見えた。なので、段々畑を右に見ながら迷う事なく進んでいくと、2つ目の溜池の傍で登山口を発見した。
緩い登りを歩いていくと、10分ほどで梅田峠に到着。そこから左手に折れて進んでいくと、大きな仏岩がある。その間、登山道の左右にはずっと20cmくらいの小さな土偶が並んでいた。これは珍しい。決して手の込んだものではないけど、いろいろな表情がしたものがポツポツと置かれていた。他に、石像って言うよりもオブジェみたいでユーモラスなお地蔵さんもお出迎え。
<石のオブジェや土偶がお出迎え(3)>
途中で見晴らしのいい場所に出る。小高い場所だしもしやここが神石山かと思ったが、向こうから来た地元の方に「もうちょっと先で弁当広げている」と教わる。
<ツツジ、春の新芽、仏岩にて>
歩いたのは4月中旬に大雨が降った翌日だったので、ボタンの花は殆ど風に煽られて道に落ちていた。ツツジはまだ元気だった。この白い花は秋葉山にも咲いていたけど、この季節に目立つもの。低山なので送電線を繋ぐ鉄塔が転々と立っている。
<ボタンの花は落ちた後、白い花、鉄塔が連なる>
神石山頂
ようやく山頂に辿り着いた。標高324m、この低さはあまりにも軽くてある意味で魅力的だ。全国で緊急事態宣言が発出されている時期だったが、ランチ休憩している人が15名ほどいた。まあこんなヤマまで新型コロナウイルスもやって来ないでしょう改めて地図の案内板を見ると普門寺を通ってなかった。この湖西連峰は東西南北に複数のルートが伸びていて、一筆書きでは行けそうにない。またの機会だ。
<神石山山頂(4)>
見晴らしがよく、すぐ近くに浜名湖の青い水面が見える。浜名湖はアメーバ状に奥のほうに入り組んだ曲線を描いているけど、目で追っていけばずっと辿れそう。その右手に遠州灘(太平洋)がある。浜名湖と太平洋の接点、今切口と思しき場所も見える。今年1月にNHK「ブラタモリ」で紹介していて全国区になった場所だ。浜松市の中心部はハッキリ判らないけど、浜松駅前に建つアクトタワーがポツンと聳えているのがかすかに見える。
少し下ってまた登り返す。そこそこflatなのでラクに進む。このまま北へ多米峠に直進したかったけど、この日は出発も遅かったし、ここで右折する。
<仲尾根分岐を右に曲がる、ツツジじゃ無さそうだけど何の花か、新緑(2)>
天浜線・知波田駅へ下山
分岐を曲がってから、ガラリと植生が変わってきた。シダが繁殖している。いつの間にか素朴な土偶も姿を消して、代わりに石積みケルンが所々に置かれていた。
若いフニャフニャの新芽が目立つ。淡い緑色もあれば、赤み掛かった葉っぱもある。5月になるとこれが新緑になってくるんだろう。実家の庭を見てたり、こうしてこの季節にヤマを歩いてみる事で、4月は5月の新緑を迎える準備をする季節だったのかと思う。今更ながら、そんな事に気付いたコロナ自粛の春だった。
<樹林帯なのにケルン、シダ、赤い新芽、白い花>
最後の展望スポットで改めて手の平のようにいくつもの入り江を形作って複雑に広がる浜名湖を、改めて眺める。浜名湖が青く光っていた。 神石山頂よりここの方がちょっと浜名湖に近づいてきた。
<紫色の華やかな花、浜名湖を望む、レンゲ>
ようやく知波田側の下山口に到着した。でも、ここから先の舗装道路が長かった。林道を下って行くと、みかん畑や荒地に出る。そんな開けた土地に不釣合いな工事中の尖塔があった。尖塔の上部にガラス窓っぽいのがあったので煙突ではなさそう。まさかイスラム教のミナレットを建てている訳でもないだろう。写真を撮った筈だが見当たらない……。
ピンボケになってしまったけど、レンゲの花は子供の頃には当たり前の風景だったけど、ここ何年かなかなか見つけられなかったもの。昔は田んぼ一面にこれでもかってくらい一面に咲いていたものだ。それと、田んぼの中でカエルを探して遊んでいたのと、同じ景色の中で記憶に残っている。
住宅地の中を延々と歩いて、ようやく天浜線・知波田駅に到着する。finishだ。その手前でローソンを発見したので、戻ってパンとかおにぎりで遅めのランチを調達する。
【参考】湖西連峰の地図
それにしても、この湖西連峰は思ったより広い。この日折り返した仲尾根分岐より北側にも、多米峠を越えると富士見岩や不動の滝など見所が沢山ありそう。また、神石山から西に少し歩けば普門寺峠を経てすぐに県境で、そこには「東海地方の尾瀬」と称する葦毛湿原(愛知県豊橋市)があるとか。また別の季節に訪れてみたい。 と言うか既に5月に訪れているので、詳細はまた別の稿で。
天浜線に乗ってみる
<知波田駅、かつて二俣線いまは天浜線(2)>
天浜線(天竜浜名湖鉄道)は一両編成で、1時間に1本くらいののんびりした運行。この日はJR浜松駅に戻るのにちょっと寄り道してみた。出発地点のJR新所原駅に戻るのではなく、知波田駅から北上して西鹿島駅へ向かう。右手に浜名湖を眺めながら進む。
<浜名湖に沿って北へ走る、提携チケット、ナイスパスはおトク>
このチケットは往復で使用すればかなりオトク。西鹿島駅で遠州鉄道に乗り換えて、終点まで乗っていけばJR浜松駅に戻ってこられるのだ。
車窓の風景は天浜線と遠州鉄道では全く異なる。前者はのんびりとした湖畔と田園風景が広がる。後者は部分的に高架しており市内と郊外を結ぶ通勤通学電車って趣が色濃くて、東京の電車で喩えると青梅から立川や新宿に出る感じか。
※参考;天浜線ブログ
数年前の大河ドラマ「おんな城主直虎」の舞台・井伊谷は天浜線の金指駅の辺りになる。なのに、直虎ちゃんキャラをあしらった電車は遠州鉄道で走っている。これは両企業の利益の有無によるものか。Suicaに慣れた東京人にとって、遠州鉄道のナイスパスはかなりオトク。と言うのも、1000円チャージすると、なんと10%増しで1100円が入金される。こんな事はSuicaやPASMOでは考えられない。