花の白馬岳(2日目)
白馬大池から山頂へ
日程: 2日目
行程: 白馬大池(7:30)→船越の頭(8:30)→小蓮華山(9:50)→三国境(10:50)→白馬岳(12:05)→白馬山荘(12:35)
夜中に目醒めたらドシャ降りだった。朝食時もまだ軽く降っていてこの日のルートで迷う。私の登山靴は穴が開いているのでとにかく雨に弱い。親指つけ根辺りを踏み込む時にグッと曲げるので小さく穴が開いていたけど、冬山で凍った雪がこびり付いてそれを無理やり剥がしたらその勢いで登山靴の革もちょっと剥けてしまっていたのだ。
予定通り山頂を目指すか、撤収するか悩んでしまった。朝食時に同じテーブルに座った登山者に聞いてみると「私達は今日下るだけなの。でも先ずは小蓮華山まで登らなきゃあ。そこで改めて考えればいいじゃない」と明るい。そう、それが正解だと思う。勿論、白馬大池山荘にザックを置いて空身で白馬岳まで往復するものありだったけど、コロナ対策で予約は既に埋まっており今更当日で連泊の申し出は受けられないと言われた。なので、とにかくその日の天気に賭けて進むしかない。
<朝食、小蓮華を目指して、振り返ると白馬大池も小さくなる、雪渓も目立つ>
幸い出発時刻になると少し晴れ間が出ていた。左右にお花畑を見ながら稜線を登り始める。このルートは綺麗だ。かつてNHKドラマ「坂の上の雲」のエンディング・テーマ曲と共にこの景色が上空からゆっくり映し出されていった。前回はそれに憧れてこの稜線を歩くためにわざわざ白馬大池まで来たのだ。
ハイマツも膝くらいの高さに伸びている。もっと高度を上げていくとホント地面を這うようにヨコに成長しているのが、環境のせいとは言え逞しい。
小蓮華山まで登ると達成感ある。ここだって標高2700m超であり、立派な登山だ。以前の山行では小蓮華どまりだったけど、今回は緩い登山道を進んでいく。この季節なら(白馬大雪渓を登るのでなければ)軽アイゼンなんて要らない。気持ちのいい稜線を淡々と進む。ややガスが多い。西側の山肌を登ってくる風も強いけど、ずっと照らされるよりまあこのくらいの天気の方が歩きやすいだろう。
<小蓮華山にて(2)、赤土がむき出しの稜線、三国境のガレ場>
三国境に到着。一瞬その先の険しい山肌が見えたけど直ぐに隠れる。白いガレ場で休憩していると、小蓮華で一緒だった登山者とまた顔を合わせる。お互いに抜きつ抜かれつ、でも目指すゴールは同じなのだ。
この先は更に富山側からの風が強くなった。吹き飛ばされるんじゃないかと思ったが、稜線の左側に落ちたら命はない。思いっきり崩れ落ちているので、慎重に足を運ぶ。まさかと思いつつも、風の抵抗を弱めるためにザックカバーを閉まった。強風で悩まされたのは、真冬の天狗岳や安達太良山と同レベルだった。湿った風が吹き付ける中、ようやく山頂と思しき場所に辿り着いたけどその標識が無い。乗鞍と同じく黄色い看板があったけど、破片が残っているだけで、「白馬岳2932m」とはどこにも書いてなかった。やっぱり山頂に登った証が欲しいもの。展望台座をバックに一枚撮って貰う。
白馬山荘は山頂直下にある筈だけど、ガスで何も見えない。マゴマゴしながらガレ場を下り始めると一瞬ガスが消えた。確かに直ぐそこが小屋だった。コロナ対策のマスクを付けて、ヘトヘトになりながら受付を済ませる。で、すぐさまビールを求めて食堂へ向かう。山頂でもお会いした女性が「乾杯しよう」と誘ってくれたのだが、こちらもヘトヘトで見失ってしまった。
<白馬山頂、白馬山荘の入り口、ランチはビール&タルト、外は冷え切ってガスで白い>
大部屋でヨコになると急に寒さが襲ってきた。Tシャツ1~2枚で歩き通しだったので冷えたんだろう。なので、夕食まで時間はたっぷりあったけど、もう動く気力なし。杓子岳まで往復しようなんて気持ちは雲散霧消して眠った。
夕食後、ロープウェイで一緒だったカップルと話す。ただ、話していくとカップルでもなさそう。どういう2人なのか気になるけどまあいい。親戚の若い女性でも山に案内している感じなのか。こちらもNZワンガヌイ川で転覆した時の動画とかshareした。毎度、いろいろな山に登るとこういう何気ない会話が楽しい。
白馬乗鞍や白馬大池の花々
白馬乗鞍岳のまっ平な登山道に大振りな紅い花が咲いており、ハマナスだと思った。確かに鳥取砂丘でも咲いていたしそこが南限と聞いていたので納得しかけたけど、でも、葉っぱがハマナスのそれではなかった。下山後にゴンドラ駅に高山植物の写真が貼ってあり、それでこれがタカネバラなのかと後で知った。
白馬大池の周辺ではイワカガミとチングルマ、シオガマの花畑が広がっていた。ここのシオガマは立体的に回っている。以前に登ったのは10月だったので、雪渓も含めてこの華やかな景色にビックリした。
【赤色】 タカネバラ、イワカガミ、ハクサンコザクラ
【黄色】 シナノオトギリ(花、芽かな)
【白色】 シャクナゲ、トモエシオガマ、ハクサンイチゲ、セリ、トラノオ
雷鳥を見つけた!
小蓮華に登る直前の御花畑で4羽がトコトコ歩いていた。正に雷鳥坂だ。すぐに草ムラに隠れてしまい、撮れたのは僅か1羽のみ。しかも写真に埋もれてしまうほど小さい。雷鳥を初めて見た人が「細長くてキジみたい」と喜んでいた。確かにここの雷鳥は他で見たのと比べて丸っこくない。
北アルプスや南アルプスだと稜線でだいたい姿を見せてくれる。幸いこれまでの所、天気が崩れる訳でもない。こっちの方がやや丸っこくて雷鳥らしいかも。
<中央部に小さく雷鳥が映っている>
小蓮華山の周りの花々
チシマフウロが好きだ。チシマフウロは北海道での名前で、本州ではハクサンフウロって名前で呼ぶ人が多いんじゃないか。私は、利尻礼文で見たのが初めてだったので、もうこの名前で頭に染み付いてしまっている。かつてチシマフウロを月山で見つけた時にはややピンク掛かった紫色に輝いていたのを思い出した。
カワラナデシコもずっとリシリナデシコって覚えていたくらいだ。あと、ミヤマアズマギクは初物だった。
【暖色系】 シナノキンバイ(2つとも?)、キリンソウの仲間か、クルマユリ
【青紫色】 イワギキョウ、シャジン、ミヤマアズマギク、チシマフウロ、カワラナデシコ
【白色】 チングルマ(2)、コバイケイソウ、トリアシショウマ