花の白馬岳(Final)
山頂付近の花々
三国境のガレ場でコマクサを見つけたって人がいた。確かにコマクサは土からの栄養が全然摂れないようなガレ場で咲いているけど、私は生憎コマクサを見逃してしまった。帰路も三国境を通過したけど、その時は栂池までの下山で焦っていたのでとっくに忘れていた。
でも、山頂部では耐えて咲く花をいくつも見つけた。特に、ミヤマクワガタを見つけたのは初。昨年、磐梯山に登った時に地元のからから「バンダイクワガタが会津磐梯山の固有種だ」と伺ったけどそこでは縁がなかったので今回長くヒゲが伸びたこの花を初めて拝む事ができた。
【赤紫色】タカネシオガマ(2)、ミヤマクワガタ、ウルップ草、紫の小花
【白色】 ウメバチソウではなさそう、アオノツガザクラ、白い小花、イワツメグサもあったような、白く垂れた花(イワオウギ?)、エーデルワイスっぽい花の蕾か?
一気に下山
日程: 3日目
行程: 白馬山荘(7:00)→小蓮華山(8:55)→白馬大池(11:10)→天狗原(14:25)→栂池自然園(16:30)
前日はガスが濃くて殆ど周囲を見られなかったけど、翌朝には少し雲間が出てきた。村営の山小屋も眼下に見えてきたし、運搬用のヘリも飛んでいる。今年は梅雨明けも遅く7月に雨が多かったので、小屋の物資がかなりtightだったらしい。初日の白馬大池山荘でも、缶ビールが提供できなくなりそうなピンチだったとか。
<朝になって視界が開ける(3)>
小屋でガッツリ朝食を掻き込んで、先ずは山頂へ登る。
<白馬山荘の夕食、朝食、白馬山頂を仰ぐ>
さて、この日は下山。ルート選択は栂池しかない。大雪渓を降りるのはありえないし、蓮華温泉も可能性としてはあるけど標高差が1500mくらいあるので、露天風呂がいくつもあって食事が美味しいのは魅力的だけど下山が苦手な私には不向きなのだ。ただ、栂池まで一体何時間どれだけ時間が掛かるのか、ロープウェイの最終時刻に間に合うのか、かなり不安だった。
なので、登りは高山植物の写真を撮りながらのんびり歩いたものの、下りは高山植物も脇で見つつも必死だった。まあ、前日と異なり西からの風が吹き上げてくる事はなかったのでsmoothに進む。
逆に晴れて視界良好だったので、疲れている時に見えなくてもいいものまでストレートに見えてしまうので困った。高低差がハッキリ見えたので、船越の頭に登り返す時など「えっ? ここを登り返すの!」と唸ってしまった。
<白馬大池へ戻る(2)>
白馬大池山荘で一息入れる。前日に山頂でご一緒した60代の女性はランチしていくとか。私はペットボトルのジュースを2本買って一気に飲み干す、水分補給したら直ぐに出発した。で、白馬乗鞍までちょっとキツイなと思ったけど、登りなので凌げる。斜度のある雪渓をつぼ足で下るのは怖かったけど、もうここを避けたら下山できないので慎重に歩く。大雪渓を登ってきた登山者は、みんなここでアイゼンを装着していた。
<白馬乗鞍、雪渓(2)、体力消耗した岩場の下り>
順調だったのはここまでか。その下の岩場でドッと体力を消耗した。この岩場は登るのには楽しかったけど、下りは一段一段の高低差が大きい。なので、足元がふらついたり、その度に重たいザックが左右に揺れながら腰にdamageを与えてきたり。天狗原に戻る手前でバテた。既に追い抜かれていた60代の女性とまた会話したのだが、もうこっちの息が上がっていた。ここで「たけのこの里」を喰い尽くしたし、水もほぼほぼ無くなってしまった。
この先の下山道がとにかく長かった。たかが下りでしょ、と思うのだが膝の怪我があるし、下りは苦手。天狗原でも20分くらいベンチにヘタレ込んで休憩した。結局、登りが4h+5hで、白馬岳~白馬大池はspeedyに4hで下りられたけど、白馬大池~栂池が5h強も要してしまった。なので、ロープウェイの最終にもギリギリ間に合った形だ。
行きのロープウェイで一緒になった千葉の男女は16:45頃に男性だけが下山してきた。どうやら女性がバテたらしく、天狗原で分かれて様子見のために一旦下山してきたとの事。おお、これからもう一度戻るのもそれはそれで大変だ。しかも、ロープウェイが終わってしまうと栂池自然園の山荘に泊まるのだろう。普段なら難なく泊まれても今年はコロナ禍で人数制限を設けているので、何かと手間だ。無事下山できたのだろうか。
栂池に戻った後で
最終日、ゴンドラを乗り継いで栂池高原に戻ると、既にバスの運行は終わっていた。他にもそんな登山者がいてtaxi を呼んでいたので、相乗りさせてもらいJR白馬駅に向かった。
30代の女性だったが、聞いてみると彼女はかなりの強者でビックリした。なんと、この日の朝に猿倉から大雪渓を登って白馬岳に登頂してそのまま栂池に下山してきたとか! 軟弱な登山者には信じられない凄技だ。しかも明日は雨飾山に登られるとの事で、なんともpowerfulだ。
JR白馬駅に着くと、1時間半も前に下山していた60代の女性が電車を待っていた。バスの接続が悪くて結局この時間になってしまったらしい。白馬から東京は遠い。白馬から大糸線で松本駅に戻るだけでも2時間掛かる。新幹線で長野経由の方が時間短縮できるだけど、やっぱり松本経由のルートが染み付いている。それに大糸線の車窓は美しいし、見ていて飽きない。かつては20代の頃は東山魁夷の絵を想起したけど、今回は単に田んぼが広がっていてその向こうに北アルプスの山並みが続いているだけで嬉しい。コロナの時代ゆえか。JR海ノ口駅の辺りでは青木湖とか木崎湖とか仁科三湖が連なっており、探せばカヤックとかできるんじゃないか。
<JR大糸線の車窓、JR白馬駅>
ヤマで会った方の中には信濃大町で前泊された方も居た。確かに松本泊よりも時間のロスが少なくて、早々に登山口に着けただろう。JR穂高駅も燕岳とか常念岳に登るのに便利な駅だ。
今回、白馬岳から栂池自然園に一気に下ったのは、下りが苦手な登山者にとってかなりsevereだった。無理すればそのまま東京に帰れなくもなかったけど、温泉に浸かりたい気分だった。松本駅の近くには昭和のままな塩井鉱泉(銭湯)も湧いているし、地上7Fに開放的な桧風呂が付いたビジネスホテルがある。で、駅から徒歩1分のHOTELニューステーションに泊まることにした。
このホテルは何度も泊まっているけど、夕食を摂ったのは初めてだ。信州はやっぱり味噌。昔みそピザも食べたなぁ。しゃもじに付けて焼いた味噌はいいツマミになる。椅子にもたれ込んでビールを流し込んだ。裏銀座の向こう側だけど、飛騨古川(飛騨高山よりちょっと富山寄り)だとホットプレートで焼く焼味噌が絶品だ。ゴハンに合う! しかも、このホテルの朝食は毎度オイシイ。蒸し野菜に味噌を付けて食べるのがウリなのだ。
<焼き味噌、牛肉の味噌漬と枝豆、おにぎり、朝食:蒸し野菜付き(2)>