紅葉の裏岩手縦走路

網張温泉から三ツ石山へ

東北の紅葉は早い。9月後半に、網張温泉のリフトを使って裏岩手縦走路の一部をショートカットして歩いてきた。三ツ石山はホントに赤い絨毯が広がっていた。山頂部は登山者で溢れ返っていて、コロナ禍なのに密だった。

<山頂!、すぐ側の岩場から山頂の岩塔を望む>

<しっかり紅葉、大松倉山から三ツ石山の遠景>

藤七温泉から畚岳へ

三ツ石山に登った翌日も快晴。そこより北に位置して、裏岩手縦走路の北側の端っこ近くにあるのが畚岳。この漢字はなかなか読めない、「もっこだけ」なのだ。

<諸桧岳方面に回り込む、北側より望む>

軟弱者は裏岩手縦走路をあっさり断念して、藤七温泉バス停から淡白にアプローチした。2020年3月に真冬の森吉山から眺めた畚岳がどんな所なのか自分の足で確かめておきたかったのだ。

【追記】裏岩手をショートカット

かつて八幡平を歩いた時にどこかの温泉宿に泊まった。そこで見つけたパンフレットで「裏岩手縦走路」の存在を知った。標高差があんまりなくて歩きやすそう。ただ、1日で歩き通すにはいささか長いな、と思っていた。
もう1つ気になる存在だったのが、JR盛岡駅に貼ってある大きな広告。紅葉で真っ赤に染まる三ツ石山の写真だった。あれこれ秋の山を歩いてみると、紅葉や黄葉が綺麗なのは圧倒的に東北地方だと分かる。
例えば、10年以上前に見た十和田湖は深紅の紅葉だったし、蔦温泉の黄葉も見事だった。鮮やかさで言えば岩手・宮城・秋田の県境にある栗駒山に驚いた。ただ、ここは10月に須川温泉から歩いても紅葉がとっくに終わって淋しい。9月中旬にリベンジしてみると、もうホントに燃えるような赤のじゅうたんが広がっていた。
なので、2021年の紅葉登山は三ツ石山と裏岩手縦走路に決めたのだ。しかも栗駒山を2度歩いた経験からして、まだ早いと思ってもやっぱり9月中旬に出掛けた方がいいと思い、早々に東北新幹線に乗った。これがもう大当たり。

初日:網張温泉へ

初日は網張温泉に泊まる。到着したのが夕方だったので、30分ほど宿の周辺を散策して、明日に備える事とした。
<センブリ、岩手山に続く稜線>
<まだ新緑みたいに明るい、オオカメノキ、バイキングのローストポーク>
休暇村のすぐ脇からリフトがあるので、ラクに標高を稼げる。
<リフトで楽々(2)>
ここのナナカマドは背が高い。いつも信州で見掛けるそれとは全然違う。これって標高の差もあれば風の強さも関係しているのだろうか。
<ナナカマド、焦げたリンドウ、黄色い花>
この旅では、ザックリこんな感じで歩いた。
初日:網張温泉の周辺
2日目:網張温泉リフト上→大松倉山→三ツ石山→松川温泉
3日目:藤七温泉→畚岳→八幡平バス停
<旅の途中で入手したパンフレットから抜粋>

2日目:三ツ石山を経て松川温泉へ

時期: 2021.9中旬
2日目の行程: 網張温泉リフト上(9:35)→大松倉山(11:05)→三ツ石山(12:20~13:10)→松川温泉(15:30)
翌日はいよいよ三ツ石山に向かう。網張温泉のリフトを使ったので既に標高1100mくらいまで上がってきている筈。だとすると標高差は僅かだ。
<9月なのにもう赤い(2)>
<ウメバチソウかな、色付きはじめ>
すぐに分岐になり右は岩手山、左が三ツ石山だ。
<岩手山方面、抉れた登山道を西へ(3)>
抉れた道を進む。ぬかるんでいるので雨の後だと厄介だな。でも、1つ上の写真の左側斜面など高い木がポツポツ立っている程度でさわやかな緑が広がっており、浄土平や森吉山を思わせるものがあった。
<大松倉山、振り返れば岩手山、三ツ石山荘付近>
ほどなくして、小さな湿原に出る。その脇に三ツ石山荘(避難小屋)があった。ここからほどなく山頂に着ける筈だ。

山頂はホントに赤く染まっていた。ナンゴクミネカエデの赤がこれでもかと眩しく赤焼けている。オレンジ色の紅葉もあり、グラデーションもまた綺麗だ。
<三ツ石山ピーク(2)>
小さな岩山が3つくらいあった。それが三ツ石山の由来でもある。その小さなてっぺんに溢れん限りの登山者が乗っかっている。立錐の余地がないって言葉があるけど、それにほぼ近い状態だ。
<三ツ石山ピーク付近(2)>
三ツ石山から見る岩手山がホント好位置にある。山頂部の赤のじゅうたんの向こうに岩手山の特徴的な山容がしっかり収まっている。
<岩手山も近い>
もう言葉はいらない。ここから北へ裏岩手縦走路がずっと続いている。畚岳までそんなに高低差のない緩やかなトレイル見えるのでつい歩けそうな錯覚に陥る。事実30分くらいは直進したい衝動に駆られた。
<三ツ石山ピーク付近(+2)>
体力があれば、そして三ツ石山荘で自炊するスキルがあれば泊まってそのまま北上していきたいけど、そこまでのパワーはない。なので、辺りを何度も見まわしたり、いつまでも写真を撮ったりしていた。いつかこの先を八幡平まで歩いていきたいな。
<三ツ石山ピーク付近(+2)>

三ツ石山の紅葉があまりにも美しかったのであと2枚ほどアップしてみた。
<三ツ石山ピーク付近(2)>
ここで山荘まで折り返す。少し上から山荘前に広がる湿原を見下ろす。さして大きな湿原ではないけど、なんだか浄土平の緑と似ているな、なんて福島の風景を想い出した。浄土平ももう10年ほど出掛けていないな。
<三ツ石山荘へ戻る(3)>
<三ツ石山荘付近(2)>
この日はここから松川温泉に下山する。最初はflatな登山道を歩き、最後にダラダラと下り切ったところが松川温泉。
<松川温泉へ(3)>
ここには地熱発電所があり、大きな冷却塔から湯気が噴き出していた。
<松川温泉(3)>
この温泉宿、建物はくたびれていたけど、風呂も食事もなかなか良くて当たりだった。初めて食したホヤはちょっと警戒したけど、岩手では以前にも盛岡でマンボウの刺身を食べさせてもらったりと、なかなか珍しい食材に出会えるのでありがたい。
この翌日も紅葉の綺麗な畚岳を目指す。

3日目:藤七温泉から畚岳へ

3日目の行程: 藤七温泉バス停(9:05)→畚岳(9:50)→もう少し紅葉の海を南下(10:25)→撤収して八幡平バス停(11:20)
今回の岩手の紅葉にはもう1つの目的があった。それが裏岩手縦走路の最も北にある畚岳。もっこって名前もユニークだけど、ここは2020年3月に樹氷が林立する森吉山に登った時に、山頂で地元の人から教えてもらったランドマークの1つだった。
なので、裏岩手縦走路の踏破はムリとしてもここだけピンポイントで歩いてみたかったのだ。
<藤七温泉バス停(2)>
この日はバスで藤七温泉へ向かう。折角なのでここの湯舟に浸かっておきたかったが、まだ朝だったのでとりあえずスルーした。ココから軽く登って畚岳へ向かう。
<畚岳へ向かう(2)>
ここも前日の三ツ石山と同様に赤く燃える紅葉が綺麗で、季節的にもしっかり恵まれていた。
<畚岳へ迫る(3)>
ほぼ標高差ないまま、あっさりとピークを踏む。この西側が秋田県。森吉山はどれなんだろうか。山頂部は緩いカーブを描いたツンとした形状だ。実は森吉山には2022年10月、紅葉の時期にも再訪している。
<畚岳ピーク(3)>

この日も快晴。このまま南下して、昨日の三ツ石山まで歩けたらどんなに快適だろう。そう思うのだが、着いたら着いたで網張温泉に向けてどこかのルートを辿って下山しなくてはいけない。そこまで考えると無茶はできない。
<畚岳>
さりとて、ここから松川温泉まで歩くのはムリ。それは分かっているけど、最高の紅葉に恵まれているので、もうちょっと紅葉の海に溺れていたい。私も、周囲の登山者もなんとなしに南下を試みるのだった。
<紅葉の海を南下(3)>
<紅葉の海を南下(+3)>
もうこれで見納め。八幡平山頂のバス停に向かおう。
<八幡平バス停、車窓から姫神山>
バスの車窓で、なだらかな稜線から一目でそれと分かる姫神山を見つけた。あそこも以前に登ったなあ。東北のヤマは鳥海山、月山、蔵王、安達太良、八甲田山、栗駒山とどこもいいな。
<一ノ関で餅膳、一ノ関駅>
岩手県まで出向いたらやっぱり餅膳を喰らっておきたい。一ノ関駅で途中下車。駅周辺に食べた事ある店が2軒ある。いずれも徒歩圏内なのでありがたい。餅膳は何度もリピートしているので、写真は以下リンクで過去のモノを参照。ふじせいで一ノ関餅膳を食べてこの旅は終了。

【2023.9.25追記】 2022年秋にAmebaブログに投稿した文章をベースに 「裏岩手をショートカット」の項を追記しました。<>内は写真の説明文だが、容量の問題もあって当サイトでは写真を省略しました。

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