鹿島槍に登って子熊とニアミス

8/12鹿島槍ヶ岳(南峰)に登ってきました。

(1)鹿島槍ヶ岳南峰

快晴に恵まれて視界を遮るものもない。以下の3枚はいずれも鹿島槍の直下で撮ったもの。1枚目の写真には稜線上に冷池山荘と種池山荘が小さく写っている。ここの稜線をずっと歩いてきたからこそ感慨がある。

<布引山、冷池、爺ヶ岳、種池と続く稜線>

<剣・立山、鹿島槍ヶ岳>

(2)柏原新道でクマを目撃

8/13朝、柏原新道を下り始めた。その1分後くらいに後ろから「ほら、あそこに熊がいる、アレ、アレ」って声が聞こえてきた。声のトーンは落ち着いたもので、ソレなら山小屋から近そうだけどアレだと遠い感じに聞こえたし、これから4時間の下りだったのでたとえ1分でも戻りたくなかったのでそのまま下山した。

疲れていたしザックが重たいので、休み休み下山していた。
柏原新道は長いけど黄色の案内板が随所に架けられていて目安になるので歩きやすい。登山道がよく整備されているのも分かる。2時間くらいして「一枚岩」の看板の所で汗を拭きながら休憩していた。自分のメモには7:55と書いてある。時計を5分進めているので正確には7:50だった。

下から上がってきた年配女性が「あの辺がザワザワしていた。何かいるみたい。熊なのかカモシカなのか……」と言う。そう言われたら心配になってしまう。しばらく様子を見る。鈴をチャリチャリ鳴らしてみる。できるのはそれくらいしかない。先ずは自分の存在を獣にアピールしておくのだ。

その時、登山道の下の藪から黒い物体が表れた。登山道を横切ってそのまま上の藪にもぐっていく。こちらの気配が伝わっていたのか、それともお構いなしの行動だったのか。威嚇するでも逃げる風でもない。素早い動きでもノソノソでもなく至って普通の歩みだった。

振り返ってみれば一瞬のことで、双六岳での遭遇と異なり写真は撮れていない。2015年、知床のフレペの滝・遊歩道で遠目にヒグマを見た時と同じ光景だった。あの時は大騒ぎになっていて展望台に10人くらいが取り残された。レンジャーの方が花火で追っ払ってくれ、遊歩道はそのまま終日クローズされた。
北アルプスで熊を目撃するのはこれで2回目。まさか、ってのが正直なところ。しかも2022年に双六岳に登る時に花見平の近くで遭遇したのも8時前後だった。この時間帯に活発に行動するのか。

※参考:2022年の双六岳

もうちょっと様子を見てみようと立ち止まっていたら、下から2人組が上がってくる。何事もなかった。大丈夫だな。ただ、潜在的に追われているようなプレッシャーを受けていたためか、登山口の手前10分くらいの所でコケてしまった。まあ左肘を擦りむいた程度なんだけど。

ちなみに爺ヶ岳(南峰)までは2021年に登っているけど、鹿島槍ヶ岳まで足を伸ばしたのは今回が初めてだった。
※弊Amebaブログ

https://ameblo.jp/cx0293/entry-12759329032.html

(3)扇沢出合で報告

この日も扇沢出合(柏原新道登山口)にテントがあって、登山者をチェックしてくれていた。熊の事を簡単に報告する。双六で会ったのより明らかに小さかったと伝えた。
そこで教えてもらったのが「7/23に柏原新道で女性が怪我をして血だらけで下山してきた。報道では軽い怪我って事になっていたけどそんなもんじゃない。4人パーティーだったが距離が離れていて1人の時に襲われた」とか。
えっ、ここってそんなに危険なエリアだったの? ただ、これまで登山中に話した人の情報だと「燕岳にもいたヨ」とか熊が暮らしているんだから当然のことと構えている人も多い。事前に教えてよ! って思いもあるけど、わざわざ扇沢まで来て熊出没するから登らないってことにはならないだろう。
別の方から「この日6:20頃に種池の近くで熊が出た。でも種池の熊は人を襲わない」とも聞いた。6:20は私が後方から聞いた時間帯とぴったり一致する。であれば「アレ」じゃなくて「ソレ」とか「コレ」の距離感だったんじゃないか。

(4)ネット検索してみたら

帰宅後にネット検索してみた。すぐに見つかった。
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23日午後2時前、大町市の爺ヶ岳に続く登山道・柏原新道で、「女性がクマにひっかかれた」と女性の仲間から通報がありました。警察と消防によりますと、東京の78歳の女性が顔を10センチほどひっかかれ、ドクターヘリで長野市内の病院に運ばれましたが、軽傷だということです。大町市によりますと女性は仲間4人で下山していて、登山道の入り口から2~30分ほど入った場所で、成獣とみられるクマに襲われたということです。
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※出典
「登山道をどんどん下りて来た…」クマに遭遇した登山者がその姿を撮影「1メートル50くらいあったか」近くの登山道では東京の78歳女性が顔を引っかかれ軽いけが | SBC NEWS | 長野のニュース | SBC信越放送 (1ページ) (tbs.co.jp)

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/sbc/1315368?display=1

SBC信越放送の映像には襲われた場所が印されていた。私が目撃したのは「一枚岩」なので柏原新道のほぼ中間くらい。7/23の件はかなり下の方で発生していたのだ。
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2024 7/ 22(月) 
今夕の県内ニュースでは岳沢小屋のテント場にクマが出没して、テントや食料が荒らされたため、当面幕営禁止になったという内容でした。当方でも以前種池テント場で同様の案件があり、苦渋いたしました。とにかくクマが増えている実感は否めません。北アルプス全域どころか平地部を含めて県内あらゆる地域で気をつける必要があります。当山域でも毎年のようにクマの出没が見受けられます。今季も爺ヶ岳稜線や岩小屋沢岳稜線で度々目撃さされていますので、ご注意願いたいと思います。20年以上前はこんなに目撃されることもなかったんですが・・・

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※出典
最新情報鹿島槍、爺ヶ岳、鳴沢岳、針ノ木岳へ行こう (kasimayari.jp)

https://www.kasimayari.jp/saisin.htm

更に検索していくと、他にも爺ヶ岳の稜線でも目撃情報(昨年夏)を見つけた。
この記事では、岳沢の文字も気になった。ここ数年、観光客が往来している上高地エリアでも熊出没が報じられている。なので当然と言えばそれまでだが、岳沢のテント場にも出没している。私自身も7月に岳沢小屋まで登っているけど、そんなこと想像だにしていなかったな。どうしても他人事に思えてしまうのだ。

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